メインストーリー
第１幕 The Show Must Go On
第２８話 俺を見て
登場人物
監督（いづみ）
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至の職場
| 至 | おはようございます。 |
| 女子社員A | あ！ 茅ヶ崎さん！ テレビ見ましたよ！ |
| 至 | テレビ？ |
|
女子社員B |
劇団に入ってたなんて、知りませんでした！ |
| 至 | ああーー実はそうなんだ。 |
| 女子社員A |
チケットまだ残ってますか？ 同僚の子も行きたいって言ってて……。 |
| 至 | うん、まだ残ってると思う。 |
| 女子社員A | よかった！ それじゃあ、４枚お願いします！ |
| 至 | ありがとう。すぐに手配するね。 |
| 女子社員A | は〜、かっこいい。 |
| 女子社員B |
ザ・イケメンって感じだよね〜。 |
花咲学園
| 咲也 | あ、いたいた！ 真澄くん！ お昼、食べた？ |
| 真澄 | まだ。 |
|
咲也 |
じゃあ、一緒に学食行かない？ ちょっと相談したいこともあるし。 |
| 真澄 | ……わかった。 |
| 女子生徒A | 真澄くーん！ チケット買ったよー！ がんばってねー！ |
| 咲也 | ！？ |
| 真澄 | ……。 |
| 女子生徒A | きゃー！ こっち見た！ |
| 咲也 | す、すごいね。ファンクラブの子？ |
| 真澄 |
……知らない。 |
いづみの部屋
| いづみ |
（テレビ中継の後、チケットが一気にはけたな。 でも、まだ肝心の千秋楽が完売してない……） |
| いづみ | あと一週間なのに、どうしよう……。 |
| いづみ | （一席でも埋まらなかったら、この劇団はもう……） |
| ノック音 | |
| いづみ | はい？ |
| 真澄 | 俺。 |
| いづみ | 真澄くん、こんな時間にどうしたの？ |
| 真澄 | ……最近の俺、どう？ |
| いづみ | どうって、いい感じだと思うよ。 |
| 真澄 | 本当に？ |
| いづみ | 雄三さんだってほめてたでしょ？ |
| 真澄 |
あんなオッサンどうでもいい。 俺は、アンタのためにやってるのに。 |
| いづみ | 私のためって……それじゃダメだよ。 |
| 真澄 | ……え？ |
| いづみ |
私に褒められるだけじゃなくて、 もっと自分の成長につながる目標をーー。 |
| 真澄 | ーー。 |
| いづみ | 真澄くん！？ |
| いづみ | きつく言いすぎちゃったかな……。 |
| いづみ | （もう時間も遅いし、明日ちゃんとフォローしよう） |
稽古場
| いづみ | おはよう、真澄くん。昨日のことなんだけどーー。 |
| 真澄 | ーー。 |
| いづみ |
真澄くん、待って！ |
| 咲也 | あれ、真澄くん、朝練は！？ |
| 真澄 | 学校行く。 |
| いづみ | 真澄くん……。 |
| 綴 | どうしたんだ、あいつ。 |
| シトロン | マスミがカントク無視するなんて、明日は豆が降るネ。 |
| 綴 | 雨な。 |
| 咲也 | オレ、心配なんで、一緒に学校ついていきます！ |
| いづみ | うん、お願い。 |
談話室
| いづみ | 真澄くん、ちょっと話さない？ |
| 真澄 | ……。 |
| いづみ | 真澄くんってば。 |
| 真澄 | ……。 |
| いづみ | ……。 |
| 綴 | すねたガキか。まったく。 |
| いづみ |
（困ったな。公演も近いのに、 こんな状態じゃ本番にも悪影響が出ちゃう） |
| 綴 | あ！ そうだ！ |
| いづみ | ？ |
| 綴 |
そういえば、夕飯の材料が足りないんだった！ 監督、買ってきてもらえます？ |
| いづみ | え？ でも、卵ならまだ冷蔵庫にーー。 |
| 綴 | 足りないんで！ ほら、真澄も荷物持ちしてこい！ |
| 真澄 | ……。 |
| いづみ | （もしかして、気を利かせてくれたのかな） |
| いづみ | ありがと、綴くん。それじゃあ、いってくるね。 |
| 綴 | ごゆっくり〜！ |
ビロードウェイ
| 真澄 | ……。 |
| いづみ | ……。 |
| いづみ |
（相変わらず何も話してくれないし、 視線も合わせてくれない……） |
| いづみ | 真澄くん、昨日言ったことだけどーー。 |
| 女子生徒B | あれ！？ 真澄くんじゃない！？ |
| 女子生徒B | やば。こんなところで見られるなんて、ラッキー！ |
| 女子生徒A | 真澄くん、握手して！ |
| いづみ | ！？ |
| 真澄 | ……ジャマ。 |
| 女子生徒A | 公演がんばってね！ 応援してるから！ |
| 女子生徒B | 友達誘って見に行くよ！ |
| いづみ | もしかして、真澄くんのファンの子？ |
| 女子生徒A | 誰、このおばさん？ マネージャー？ |
| いづみ | おばーー？ |
| いづみ | （いやいや、ここは堪えよう。貴重なお客さんだし） |
| いづみ | 真澄くんが所属してる劇団の監督兼主催をやってるの。 |
| 女子生徒B | へー！ おばさんが監督なんだ？ |
| 女子生徒A | マネージャーかと思った！ |
| 女子生徒B | っていうか、監督ってことは真澄くん採用したってこと？ |
| いづみ | うん、そうだよ。 |
| 女子生徒A | それって、真澄くんに近づくためとかじゃないよね？ |
| いづみ | え？ |
| 女子生徒B | 完全にあれじゃね？ 職権乱用？ |
| 女子生徒A | うわー、いい年して、男子高校生狙いとか。引くよね！ |
| 女子生徒B | 警察沙汰じゃん。 |
| いづみ | ーー。 |
| 真澄 | お前らーー。 |
| いづみ | 真澄くん、ダメ……！ |
| いづみ | ーーっ。 |
| 女子生徒A | え？ 何？ |
| 真澄 | ーー。 |
| 真澄 | ごめん、俺、叩くつもりなんてーー。 |
| いづみ | ……私は大丈夫。 |
| 女子生徒B | あの、なんか、私たち、変なこと言った？ |
| いづみ |
私が真澄くんをスカウトした理由はかっこいいだけじゃないって、 公演見てくれたらわかると思うから。本番、楽しみにしてて。 |
| 女子生徒A | ーーあ、はい。 |
| 女子生徒B | なんか、ごめんなさい。 |
| 女子生徒A | 行こう。 |
| 真澄 | ……。 |
| いづみ | 真澄くん？ |
| 真澄 | ……。 |
| いづみ |
（仲直りしようと思ってたのに、 余計に悪化しちゃった気がするな） |
| いづみ | 真澄くん、寮に帰ろう。 |
