メインストーリー
第1幕 The Show Must Go On
第22話 オレの役
登場人物
監督(いづみ)
雄三
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稽古場
雄三 | 腰落とせって言ってんだろうが! 何度も言わせんな! |
咲也 | すみません! |
真澄 | またか……。 |
咲也 | はあ、はあ……。 |
雄三 | もう一回! |
綴 | 厳しい……。 |
至 | 容赦ないね。 |
シトロン | びちばちダヨ。 |
綴 | びしばしっす。 |
いづみ | (ここ連日の練習で、咲也くんに疲れが出てきてるな……) |
いづみ | 少し休憩入れましょう。 |
雄三 | ……ちっ。五分だけな。 |
咲也 | すみません……はあ、はあ。 |
真澄 | どうだった? |
いづみ | 真澄くんはやっぱり勘がいいから、型もきれいだよ。 |
咲也 | 問題はオレ、ですよね。 |
いづみ |
いつもの稽古に加えて殺陣の稽古だから、ちょっと オーバーワーク気味だと思う。せめて、朝練を休んだらどうかな。 |
咲也 | 大丈夫です! やれます! |
真澄 | 足を引っ張るな。 |
咲也 | ……ごめん。 |
綴 | 真澄、そういう言い方するな。 |
咲也 | いいんです、綴くん。本当のことだから。 |
綴 | 咲也、あんまり無理すんなよ。 |
咲也 | 大丈夫ですよ。 |
いづみ | ……。 |
いづみ | (本当に大丈夫かな……) |
稽古場
いづみ | (あれ? まだ稽古場の灯りがついてる) |
咲也 | はあ、はあ……。 |
いづみ | 咲也くん!? こんな時間まで練習してたの!? |
咲也 | あ、カントク、お疲れさまです……。 |
いづみ |
お疲れさまです、じゃなくて、もう夜中だよ!? 明日も学校あるんだし、もう休んで。 |
咲也 | でも、あと少しだけ……。 |
いづみ | ダメ。監督命令。無理をして体を壊したら意味がないよ。 |
咲也 | ……わかりました。 |
いづみ | 明日の朝練は休んだ方がいいよ。おやすみ。 |
咲也 | ……おやすみなさい。 |
いづみ | ……。 |
いづみ |
(殺陣の稽古が始まってからもうすぐ一週間…… やっぱり咲也くんには、まだ難しいかもしれないな) |
いづみ |
(頑張ってるけど、経験がない中でこんな短時間に詰め込むなんて 厳しい。主役として他の部分のウエイトも重いし……) |
稽古場
綴 | おい、咲也、大丈夫か? |
咲也 | だ、大丈夫です。 |
シトロン | フリフリダヨ。 |
綴 | ふらふら、な。 |
出井 | (朝練は休んだ方がいいって言ったのに……) |
咲也 | はあ、はあ……。 |
いづみ | ……。 |
いづみ | (ダメだ。これ以上決断を伸ばすと、咲也くんが倒れちゃう) |
いづみ | ーーみんな集まって。 |
綴 | なんすか? |
真澄 | 何? |
いづみ | 殺陣を演出から外します。 |
咲也 | ……え? |
綴 | ああ、それがいいっすね。 |
真澄 | なんで? |
いづみ |
咲也くんに負荷がかかりすぎてる。 公演までに故障したり倒れたら、全部が台無しになっちゃうから。 |
咲也 | 大丈夫です! オレ、まだやれますから! |
シトロン | ワタシもはずすの賛成ネ。 |
至 | たしかにここで無理はよくないと思う。 |
真澄 | 俺はできる。 |
いづみ |
今回の演出は、咲也くんと真澄くんが揃って 初めて効果のあるものだから。 |
真澄 |
アンタ、俺の殺陣ほめてたのに。 |
いづみ | 二人には、またどこかでやってもらうよ。 |
真澄 |
ロミオ役を誰かと交換すればいい。 そうすれば殺陣もマシになるだろ。 |
咲也 | ……っ! |
いづみ | 何言ってーー。 |
咲也 | ……嫌だ。 |
いづみ | 咲也くん? |
咲也 | 嫌だ! 絶対に嫌だ!! ロミオ役はオレの役だ! |
綴 | おい、落ち着けよ、咲也。 |
咲也 |
ーーあ、す、すみません。 でも、ロミオ役を交代するなんて絶対に嫌です。 |
いづみ | (咲也くん……) |
いづみ | そんなことしないよ。 |
綴 | お前の当て書きだって言っただろ。 |
至 | 真澄もこだわりすぎ。 |
真澄 | ……。 |
咲也 | お願いします。オレ、がんばりますから、だからーー。 |
いづみ |
わかった。殺陣についてはもう少し考えよう。でも、無茶な練習を 続けるようならすぐに演出は外す。体調管理も役者の仕事だよ。 |
咲也 | ……わかりました。 |
いづみ | 連絡は以上。みんな、練習を始めて。咲也くんは今日は見学。 |
咲也 | ……はい。 |
いづみ |
(さっきの咲也くん、珍しく取り乱してたな。それだけ、 ロミオ役に思い入れがあるのかもしれないけど……) |