メインストーリー
第1幕 The Show Must Go On
第34話 ショーは終わらない
登場人物
監督(いづみ)
鉄郎
ストーリーを読む
MAKAI劇場
いづみ |
(このまま続けるのは無理だ。一旦幕を下ろして、 仕切り直さないとーー) |
いづみ | すみません! 一旦幕をーー。 |
ロミオ | 『やめろ、ティボルト! もう戦いは終わったんだ!』 |
いづみ |
(え? こんなセリフないよね……? 咲也くんのアドリブ……?) |
至 | ーー。 |
ロミオ | 『剣を降ろせ!』 |
いづみ | (The Show must go on……!) |
いづみ | (これでティボルトとの戦いが続けば、先につながる!) |
ティボルト | 『ーー死ね、ロミオ!』 |
ロミオ | 『ーーっ』 |
スタッフ | 幕、どうします? |
いづみ | ーーこのまま続けます。 |
いづみ | (大丈夫だ。みんななら、このまま走り続けられる……) |
ロミオ | 『なんでだよ、なんでこんなことに……』 |
いづみ |
(咲也くん、きっとあの時話してた役者さんと同じくらい、 舞台で生き生きとしてるよ) |
ジュリアス |
『そもそも僕は肉体労働派じゃないんだ。 山登りなんて、もう金輪際ごめんだからな』 |
ロミオ |
『ごめんごめん、次は僕がジュリアスのために 仮死薬の材料を取りに行くよ』 |
ジュリアス | 『あんなことがそうそう何回もあってたまるか』 |
MANKAI劇場 客席
いづみ | ……。 |
いづみ | (終わった……幕が、下りた) |
MANKAI劇場 舞台袖
咲也 | ……すごい。今までで一番大きい。 |
綴 | スタンディングオベーションだ。 |
シトロン | どうなるかと思ったヨ! |
いづみ | 至さん、足、大丈夫ですか!? |
至 | ーー。 |
綴 | えっ、至さん!? そんなに痛いんすか!? |
真澄 | 救急車。 |
至 | 違ーー。 |
咲也 | 違う? |
至 |
なんか今……今までの人生でないくらい、 自分が熱くなってて、笑えるだけ。 |
綴 | 泣いてんじゃないすか。 |
咲也 | シトロンさんみたいですよ! |
シトロン | ワタシ、泣くと笑う間違わないヨ! 深海ネ! |
真澄 | 心外、間違ってる。 |
MANKAI劇場 舞台袖
いづみ | ぷっ、あははは! |
至 | はは……。 |
いづみ |
(よかった……本当によかった。 今日の公演は、きっと一生忘れられない公演になる) |
控室
雄三 | おう、おつかれ。 |
いづみ | 雄三さん! 来てくれたんですね! |
綴 | どうっすか。 |
雄三 | まあまあだな。 |
シトロン | 厳しいネ。 |
雄三 | まだまだこれからってことだ。 |
至 | 先が長い。 |
咲也 | ってことは、至さん、これからも劇団にーー? |
至 | …………まあね。 |
至 | せっかく、ゲーム以外で面白いと思えるもの見つけたし……。 |
咲也 | やったああ! |
いづみ | これからもよろしくお願いしますね! |
至 | こっちこそ。 |
咲也 | 本当に良かった……っ。 |
至 | 改めてこれからもよろしく、リーダー。 |
咲也 | えっ、リーダー? 座長はこの公演だけなんじゃ……。 |
いづみ | 公演ごとの座長とは関係なく、春組のリーダーも必要だよ。 |
綴 | 春組リーダーっていったら、咲也だろ。 |
真澄 | それでいい。 |
シトロン | サクヤがテッキンダヨ。 |
サクヤ | テ、テッキン? |
至 | 適任と見た。 |
咲也 | シトロンさん、みんな……。 |
いづみ | そういうわけで、これからもリーダーよろしくね。咲也くん! |
咲也 | ーーこれからも、がんばります! |
幸 | おつー。 |
咲也 | あ、おつかれさま! |
綴 | 客席から見て、衣装、どうだった? |
幸 | 衣装はよかった。 |
綴 | 衣装『は』!? |
至 | 安定の辛口。 |
幸 |
他もまあまあだったよ。 舞台で衣装を着るっていうのも楽しそうだし。 |
綴 | 役者になれば? |
幸 | はあ? オレ、衣装係だから。 |
いづみ |
(そっか。幸くんなら、衣装映えするし、 度胸もあるから素質あるかも……) |
一成 | おつピコー。 |
いづみ | あ、一成くん、テレビ局の件、ありがとう! 助かったよ! |
一成 |
大したことないっすわ。んなことより、 いや、マジすげーっすね。舞台かっけー、マジやべー! |
一成 |
JKが『きゃーつづるん!』とか言っちゃってさー、 つづるん神ぽよじゃん! |
綴 | つづるんとは言ってないっしょ。 |
一成 | マジうらやましー! オレもちやほやされてー! |
いづみ | (もしかして、一成くんも演劇に興味があるのかな) |
鉄郎 | ……。 |
いづみ | って、鉄郎さん!? いつからいたんですか!? |
鉄郎 | ……。 |
いづみ |
今日は本当に鉄郎さんのセットのおかげで、 舞台のクオリティが上がりました。ありがとうございました。 |
綴 | かっこいいっすよね、あのセット。 |
真澄 | 作り物に見えない。 |
至 | たしかに、世界観にぴったり。 |
鉄郎 | ……。 |
咲也 | え、なんですか? |
鉄郎 | ……。 |
綴 | 誰か、支配人呼んできてー! |
鉄郎 | ……。 |
鉄郎 | ……よかった。 |
いづみ | 鉄郎さんがしゃべった!? |
綴 | 初めて聞こえた! |
咲也 | ありがとう、鉄郎さん! |