メインストーリー
第1幕 The Show Must Go On
第27話 ローカルテレビ
登場人物
監督(いづみ)
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稽古場
咲也 | おはようございます! |
綴 | はよ。 |
シトロン | おはようネ。 |
至 | おはよ。 |
真澄 | ……。 |
左京 | ……。 |
咲也 | !? |
綴 | お、おい、あれ……。 |
咲也 | あの人、取り立ての人ですよね。なんでここに……? |
シトロン | ツヅル、声かけるネ。 |
綴 | 嫌っすよ! 真澄行けよ。 |
真澄 | ……。 |
綴 | 無視すんな! |
至 |
監・督・召・喚☆ っと。 |
いづみ | みんな、おはよー。 |
綴 | すげえな、至さん。 |
左京 | ……。 |
いづみ | !! |
いづみ | 何か用ですか? 約束通り、公演は今月中に上演しますから。 |
左京 | 千秋楽は売り切れたのか。 |
いづみ | そ、それはーー。 |
左京 | 一席でも埋まってなかったら失格だ。 |
いづみ | わかってます! |
左京 | ふん。それならいい。 |
咲也 | あの人、あれだけ言いにきたんでしょうか。 |
綴 | 性格悪いな。 |
真澄 | うざい。 |
至 | 千秋楽、まだ埋まってないんだ? |
いづみ | 他の日は売れてますけど、まだ……。 |
綴 | 厳しいっすね。 |
咲也 | もっとチケットを売る方法はないんでしょうか。 |
シトロン | 握手券つけるネ。 |
いづみ | すでにファンがついていれば、効果的だけど……。 |
至 | 立ちあげたばっかりだから知名度がないね。 |
いづみ | うーん……。 |
一成 | おつピコー! |
綴 | あれ? 三好さん、どうしたんすか? |
一成 | 陣中見舞いっつーの? どんな感じかなーと思ってさー。 |
綴 | そうなんすか……。 |
一成 | あれ、なんか、空気重くね? |
綴 |
チケットが思うように売れなくて、 どうやって宣伝しようか考えてて……。 |
一成 |
マジで? 売れないと、ここつぶれんでしょ? 激ヤバじゃん。 |
綴 | そんな状況なんで、三好さんの相手してる暇はーー。 |
一成 |
あ! いいこと思いついたわ! テレビ! テレビ出ればいいじゃん。 |
いづみ | テレビ? そんな簡単に出させてもらえないんじゃない? |
一成 | あ、全然! オレ、口きくんで! |
いづみ | テレビ局に知り合いがいるの……? |
一成 | ちょっと連絡してくるわ。んじゃ、がんばって! |
いづみ | あ、ちょっとーー。 |
いづみ | 突然来て、突然帰っていったね。 |
綴 | いつもあんな感じっす。 |
真澄 | うさんくさい。 |
いづみ | うーん、本当にテレビで宣伝できればいいんだけどね。 |
いづみ | じゃあ、一時間休憩ーー。 |
??? | 失礼しまーす! |
いづみ | ?? |
??? | こんにちはー。今日はよろしくお願いしまーす。 |
いづみ | どちら様ですか??? |
咲也 | カメラ? |
綴 | なんだろうな。 |
安西 |
天鵞絨TVのディレクターの安西です。 『ザ・ショー』の取材で来たんですけどーー。 |
いづみ | 取材!? テレビ局!? |
安西 | 聞いてませんか? |
いづみ | 何も……。 |
安西 | おかしいな。支配人の方と連絡をとってたんですけど……。 |
綴 | 忘れてるな……。 |
いづみ | 忘れてるね……。 |
咲也 |
でも、TV取材が来たっていうことは、 本当に一成さんが連絡してくれたんですね。 |
至 | 意外。全然期待してなかった。 |
綴 | あの人の親、顔が広いんすよね。 |
至 | 親のコネか……。 |
安西 | それで、取材させてもらってもいいですか? |
いづみ | もちろん! よろしくお願いします! |
安西 | それじゃあ、カメラ回しまーす。 |
リポーター |
はい! 今日は大復活を遂げた知る人ぞ知る古参劇団、 MANKAIカンパニーの稽古場にお邪魔しました。 |
リポーター |
まずは主宰兼監督の橘さんにお話を聞きたいと思います。 今回の公演に向けて、メンバーを一新されたんですよね? |
いづみ | はい。新しいメンバーで一から作り上げました。 |
リポーター |
今回の公演はロミオとジュリエットのアレンジ版ということで、 見どころを教えてください。 |
いづみ |
男になったジュリエットとロミオとの友情物語です。 ぜひ見に来てください。 |
リポーター |
ありがとうございます。では続いて、 出演者の皆さんにお話を聞いていきたいと思います。 |
リポーター | まずは主演のお二人、佐久間咲也くんと碓氷真澄くんです。 |
咲也 | よ、よよよよろしくお願いします! |
いづみ | (ガチガチだ) |
真澄 | どうも。 |
リポーター |
今回はお二人の友情がメインということで、 もう息もぴったりといった感じでしょうか? |
咲也 | もちもち、もちろんです! で、真澄くん!? |
真澄 | ……別に。 |
咲也 | えええ!? |
リポーター | あはは。掛け合いがぴったりですね。 |
リポーター |
マキューシオ役の皆木綴さんは今回、 脚本を書かれたということでーー。 |
綴 | ーー。 |
リポーター | 綴さん? |
綴 | あ、はい。かか、かけーー書きました。 |
いづみ | (綴くんもすごい緊張してるな) |
リポーター | 役者兼脚本ということで、ご苦労などはありましたか? |
綴 |
そ、そうですねーー執筆時間が短かったので、ちょっと 大変だったけど、あとの苦労はやりがいがあって楽しいです。 |
至 | よろしくお願いします。 |
リポーター | わあ、イケメンさんですねー! |
至 | はは、ありがとうございます。 |
至 |
役者全員が男性ということで、女性に楽しんでいただける 舞台になってると思いますので、よろしくお願いします。 |
いづみ | (きれいな至さんだ……! 干物状態の時の面影がない……) |
リポーター | 次はーーええと、神父役のシトロンさん? |
シトロン | イエス。 |
咲也 | シトロンさん、なんでマスク被ってるんですか!? |
綴 | いつの間に!? |
シトロン | テレビが出るからには、すっぴんで出られないネ。 |
リポーター | 今回の新譜はそういった役柄なんですか? |
綴 | 一切関係ありません! |
安西 | はい、オッケーでーす。 |
安西 |
ありがとうございました。 また何かあったら、よろしくお願いします。 |
いづみ | こちらこそ、よろしくお願いします! |
リポーター | 公演がんばってくださいね。 |
いづみ | ありがとうございます! |
咲也 | はー、緊張した……。 |
綴 | 何言ってるか自分でもわかんなかった。 |
シトロン | なんだかいつもより息がつまったヨ。 |
綴 | それ、マスクのせいな!? |
至 | これで宣伝効果があるといいね。 |
いづみ |
そうですね。 少しでもチケットが売れてくれればいいんですけど……。 |