メインストーリー
第1幕 The Show Must Go On
第21話 新たな挑戦
登場人物
監督(いづみ)
雄三
ストーリーを読む
ストーリーを読む
稽古場
綴 |
監督、三好さんから連絡があって、 サイトができたらしいっす。 |
いづみ | え、もう!? |
咲也 | 早いですね。 |
至 | どんなのかな。 |
シトロン | きっと蛍光色ネ。 |
綴 | いや、ああ見えて、腕は確かなんで、こんな感じっす。 |
いづみ | わあ! すごくかっこいい! |
咲也 | いいですね! |
真澄 | プロって感じ。 |
至 | 前のサイトから二十年時が進んだね。 |
シトロン | これでお客さんがっぽがっぽネー。 |
いづみ |
そうだね。集客力があがりそう! よし、私たちもがんばって舞台のクオリティを上げよう! |
雄三 | おう、なんか盛り上がってんな。 |
いづみ | 雄三さん!? |
雄三 |
ちょうどビロードウェイでワークショップがあってな。 ついでに観に来てやった。 |
真澄 | 急すぎ……。 |
シトロン | オーゥ、これがジャパニーズヤクザのカチコミネー。 |
雄三 |
へえ、人数も減ってねえな。上等、上等。 で、あれからどうなった? |
いづみ | 観てもらえば、わかると思います。 |
雄三 | ほう、自信あるみてえじゃないか。 |
いづみ |
(あれからみんな、特別メニューをこなして技術的にも、 気持ち的にも変わった。あの時とは違う) |
雄三 | おもしれえ。やってみな。 |
いづみ | それじゃあ、みんな。今日は通し稽古から。 |
咲也 | よ、よろしくお願いします! |
真澄 | ……。 |
いづみ | 大丈夫。いつも通りやってみて。 |
咲也 | はい! |
いづみ | (きっと今度は大丈夫……) |
雄三 | ……。 |
いづみ | どうでしょうか。 |
雄三 | …………。 |
綴 | ためが長い。 |
咲也 | う、ドキドキします。 |
シトロン | キンチョーするネ。 |
至 | 一思いに言ってほしいね。 |
雄三 | ……悪くねえ。 |
いづみ | え? |
雄三 | 短期間でよくここまで伸ばしたじゃねえか。 |
いづみ | !! |
咲也 | やったああ! |
綴 | っし。 |
真澄 | 当たり前だし。 |
至 | はあ、やれやれ。 |
シトロン | 見事ぎょふんと言わせたネ! |
いづみ | ぎゃふん、ね。 |
いづみ |
(よかった。雄三さんに認めてもらえたことで、 みんなもきっと自信がもてるはず) |
雄三 | ただし。 |
いづみ | ただし? |
雄三 |
クライマックスに盛り上がりがねえな。 終わりがどうもあっけねえ。 |
綴 | 盛り上がり……それは脚本のせいっすか。 |
雄三 | いや、どっちかっつーと演出だな。 |
いづみ | 演出ですか……。 |
いづみ | (何か、派手に見えるようなことを入れた方がいいのかな) |
いづみ | 盛り上がりか……うーん、どうすればいいんだろう。 |
咲也 | オレ、歌いましょうか!? |
いづみ | いや、突然ミュージカルっておかしいでしょ。 |
真澄 | ロミオが死ぬ。 |
いづみ | びっくりするけどね!? 話が変わるから! |
至 | ラスボス登場。 |
いづみ | それも話が変わります! |
シトロン | ワタシ、脱ぐヨ! |
いづみ | それはダメ! |
いづみ |
話の流れを阻害するようなものは演出とはいわないよ。あくまでも もっと話を盛り上げて、よくするようなものでないと……。 |
綴 | うーん、難しいっすね。 |
雄三 |
終盤のロミオとジュリアスのシーンに、 簡単な殺陣を入れてみたらどうだ。 |
いづみ | 殺陣ですか? でも、殺陣の練習は全然……。 |
雄三 | 短いシーンで集中的に練習すれば。今からでもなんとかなるだろ。 |
いづみ |
(たしかに、真澄くんなら勘もいいし、 なんとかなるかもしれないけど、問題は咲也くん。それに……) |
いづみ | ワタシも殺陣に関しては、指導できるほどの経験がないんです。 |
雄三 | 俺が直々に仕込んでやる。 |
いづみ | え!? 本当ですか? |
雄三 | おう。俺だってMANKAIカンパニーには恩があるのよ。 |
雄三 | それに、お前らの熱気にあてられちまった。 |
いづみ | 雄三さん……。 |
雄三 | みっちりしごいてやっから、覚悟しな。 |
咲也 | ーーよろしくお願いします! |
真澄 | やっぱうざい……。 |