メインストーリー
第1幕 The Show Must Go On
第30話 初めてを楽しむ
登場人物
監督(いづみ)
支配人、雄三
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MANKAI劇場 客席
いづみ | (結局千秋楽のチケットが完売しないまま、ゲネか……) |
いづみ |
(でも。不安がっててもしょうがないよね。 千秋楽まで走り抜けるしかない) |
いづみ |
いよいよ明日が本番。これが最後の通し稽古に名あるから、 みんな、お客さんがいると思ってやってね。 |
咲也 | はい! |
MANKAI劇場
いづみ | ……。 |
いづみ |
(みんな、小さなミスが多いな。 経験が少ないからフォローできずに流れが途切れちゃう) |
いづみ |
(でも、一番気にしてるのは本人たちだよね。明日が本番なのに、 大丈夫かな。気持ちがくじけないといいんだけど……) |
MANKAI劇場 客席
いづみ | はい、みんな、集まって。 |
咲也 | ……。 |
綴 | どうっすかね。 |
至 | うーん……。 |
真澄 | いまいち。 |
シトロン | 調子でないネ。 |
いづみ |
公演中、上手くいくときもいかないときもあるけど、 ちゃんと気持ちを切り替えるようにして。 |
咲也 | はい。 |
真澄 | わかった。 |
綴 | っす。 |
至 | チケットは大丈夫? |
いづみ | 今はまだ残ってるけど、公園の評判次第で、また動くと思う。 |
咲也 |
……一回一回の公演をやり切ってたら、きっとお客さんは 通ってくれます。だから、がんばりましょう! |
いづみ | 咲也くん……。 |
綴 | そうだな。そのために、日替わり要素も入れたし。 |
いづみ |
また来たいって思ってもらえるように、 楽しんで帰ってもらわないとね。 |
咲也 | はい! |
綴 | っし。 |
真澄 | いつも通りやればいい。 |
至 | だな。考えてもしょうがない。 |
シトロン | がんばろうネ! |
いづみ |
(咲也くんの声掛けで、みんなの意識が切り替わった。 すっかり座長らしくなって、頼もしいな) |
MANKAI劇場 控室
支配人 |
い、いよいよですね! 私の方が緊張して足がガクガクしてきました。 |
いづみ | 落ち着いてください。お客さんの入りは? |
支配人 | テレビの宣伝のかいもあってか、上々です。 |
いづみ |
(舞台の上に立つのは役者だけ…… 私にはもう祈ることしかできない) |
いづみ | みんな、初めてを楽しんでね。 |
咲也 | はい! |
綴 | っす。 |
真澄 | わかった。 |
至 | 楽しみたいね。 |
シトロン | ワキワキするヨ。 |
いづみ | ワクワク、ね。その調子。 |
スタッフ | 開演五分前でーす。 |
MANKAI劇場 客席
アナウンス |
『本日はMANKAIカンパニー春組公演。ロミオとジュリアスに ご来場いただきまして、誠にありがとうございます』 |
幸 | 結構席埋まったじゃん。 |
アナウンス | 『開演に先立ちまして、皆さまにご案内申し上げます』 |
雄三 | さて、どうなるか。 |
アナウンス | 『本公演中の録音、録画はご遠慮ください』 |
左京 | ……。 |
アナウンス |
『間もなく開演いたします。 ご着席になって、しばらくお待ちください』 |
いづみ | (いよいよだ……) |
ワキワキ・ワクワク