メインストーリー
第1幕 The Show Must Go On
第14話 おやすみシアター
登場人物
監督(いづみ)
支配人
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MANKAI寮 談話室
咲也 | ごちそうさまでした……。 |
綴 | ごちっす。 |
支配人 |
え!? みなさん、もういいんですか? 全然食べてないじゃないですか。 |
シトロン | ワタシももういいヨ。 |
至 | ごちそうさま。 |
真澄 | 俺も部屋戻る。 |
支配人 |
え? え? いいんですか? 監督の黄金カレーですよ。 全部私が食べちゃいますよー!? |
支配人 | ……みんな、どうしちゃったんですかね。 |
いづみ | 雄三さんの言葉が相そうとう効いたみたいで。 |
支配人 | あ! 雄三さん来てくれたんですね。 |
いづみ | 連絡とってもらって、ありがとうございました。 |
支配人 |
いえいえ、でも、みんな大丈夫ですかねー。 傷心のまま退団なんてことになったり……。 |
いづみ | そんなことありません! |
支配人 | で、ですよねー。 |
いづみ |
(雄三さんの指摘は厳しいけど的確だし、 みんな、これでやる気をなくしちゃわないよね) |
いづみ |
(今は落ち込んでたとしても、きっとまた前を向いてくれるはず。 私がしっかりみんなを信じて、サポートしてあげなくちゃ) |
MANKAI寮 中庭
咲也 | ……。 |
綴 | 咲也? |
咲也 | あ、綴くん……。 |
綴 | 枕と布団なんて持って、どこ行くつもりだ? |
咲也 | ……雄三さんに言われた言葉が忘れられなくて、眠れないんです。 |
綴 | ああ、お前もか。 |
咲也 |
オレ、舞台に立ってるだけで幸せで、満足して、全然舞台のこと なんて考えてなかったんです。このままじゃ続けられません。 |
綴 | まさか、出て行くって言うんじゃーー。 |
咲也 |
だから、少しでも舞台のことをわかるように、 舞台の上で寝てみようと思って。 |
綴 | は!? |
咲也 |
頭の仲がぐるぐるしてて、何したらいいかわからないんです。 でも、ただじっと部屋で寝てることができなくて……。 |
綴 | だからって、何も、舞台の上で寝なくてもいいだろ。 |
シトロン |
ワタシもつきあうヨー。 |
綴 | シトロンさんまで!? |
シトロン | 準備もバッチリネ。 |
綴 | 二人とも、こんな夜中に寮から劇場まで布団抱えていくのか!? |
咲也 |
バカだってわかってるんでるけど、 ちょっとでも何かわかるかもって思って……。 |
綴 | ああ、もう、しょうがねえな! |
咲也 | 綴くん? |
綴 | 付き合ってやる。布団貸せ。 |
綴 | この際、真澄と至さんも巻き込むぞ。 |
咲也 | まだ起きてますかね? |
綴 |
真澄は起きてた。至さんもどうせ、ゲームだろ。 |
MANKAI劇場
真澄 | なんで俺まで。 |
綴 | ここまで来て文句言うな。 |
咲也 | 至さんも付き合わせちゃって、すみません。 |
至 | 俺はゲームがあれば、別にどこでも寝られるから。 |
シトロン | 合宿みたいで楽しいヨ。 |
咲也 | シトロンさんの国にも合宿なんてあったんですか? |
シトロン |
モチロンダヨ。キャンプ張って、 敵に見つからないように寝ずの番ネ。 |
咲也 | 敵? |
シトロン | 銃弾の音聞きながら寝るヨ。 |
綴 | それ、なんか違う! |
真澄 | うるさい。 |
シトロン | オーソーリー。おやすみダヨ。 |
綴 | おやすみ。 |
咲也 | ……。 |
真澄 | ……。 |
綴 | ……。 |
至 | ……。 |
咲也 | ……あの、みんな、起きてます? |
綴 | ……起きてる。 |
咲也 | 今日の雄三さんの言葉聞いて、どう思いました? |
綴 | むかついた。知ったようなこと偉そうに言いやがって、と思った。 |
綴 |
うざい。 |
至 | 正直厳しいと思った。 |
シトロン | ムチ打ち快感思タネー。 |
綴 | 変態か! |
咲也 |
うん、オレも最初はひどいと思ったんですけど、雄三さんの言うことは もっともだし、愛のムチなのかなと思うようになりました。 |
咲也 | カントクも最近、俺たちの稽古見て悩んでるみたいでしたし。 |
真澄 | 立ち稽古が始まった辺りから。 |
咲也 | 真澄くんも気づいてたんだ。 |
真澄 | アイツのことは俺が一番わかってる。 |
咲也 | カントクのこと、一番よく見てるもんね! |
綴 | 監督も、俺たちの芝居に満足してなかったってことか。 |
咲也 |
多分。それで、 目を覚まさせようとしてくれたんじゃないかと思うんです。 |
シトロン | まさに愛のムチ打ちダヨー。気持ちいいネー。 |
綴 | その言い方は変態っぽいから! |
綴 |
でも、そうだな。客の言葉にいちいち反発してても しょうがねえんだよな。あれを糧にしねえと。 |
咲也 |
そうですよ。オレ、舞台のこともっと知りたいです。 もっともっと芝居がうまくなりたい。 |
綴 | 俺も。あの雄三さんを見返してえ。 |
シトロン | その意気ダヨ! ワタシもがんばるネ。 |
咲也 | 頑張りましょう1 |
至 | ……。 |
咲也 | 至さん? どうかしたんですか? |
至 | いやーーそろそろ寝ないと、明日遅刻するなと思って。 |
MANKAI劇場
咲也 | あ、そうですね。すみません。それじゃあ、おやすみなさい! |
綴 | おやすみ。 |
シトロン | おやすみダヨ。 |
至 | ……。 |
MANKAI寮 中庭
いづみ | (あれ? 咲也くんたちの部屋のドアが開いてる……) |
いづみ | 二人とも、もう寝てるの? ドア閉めるよ? |
いづみ | ……え!? 布団がない!? |
いづみ |
(ま、まさか、雄三さんの言葉がショックで 本当に出ていっちゃったわけじゃないよね……) |
いづみ | (とりあえず、この辺りを探してみよう) |
MANKAI劇場
いづみ | 咲也くん、シトロンさん、どこにいるの? |
咲也 | ……ぐうぐう。 |
真澄 | ……すうすう。 |
綴 | ……むにゃむにゃ。 |
至 | ……すうすう。 |
シトロン | ……ぐうすか。 |
いづみ | !? |
いづみ | み、みんな寝てる……? でも、なんでこんなところで……? |
咲也 | ……むにゃむにゃ、カントク、がんばりますから……。 |
いづみ |
よくわからないけど、板の上で何か考えたかったのかな。 舞台から逃げないで、向き合おうとしたんだね。 |
いづみ | おやすみ、みんな。また明日からがんばろうね。 |