メインストーリー
第1幕 The Show Must Go On
第2話 咲也の家庭事情
登場人物
監督(いづみ)
伊助(支配人)、亀吉
ストーリーを読む
MANKAIカンパニー団員寮 談話室
支配人 | ここがMANKAIカンパニー団員寮です。 |
いづみ | 結構広いんですね。 |
支配人 | 一階にはレッスン室、談話室、お風呂があります。 |
支配人 |
談話室の隣にキッチンがあって、 食事は基本的にこの談話室でとることになってます。 |
支配人 | 団員用の部屋は一階に六部屋、二階に六部屋の計十二部屋です。 |
綴 | 十二? 春組だけで全部使っていいんすか? |
支配人 |
いえ。各組三部屋ずつの振り分けになってます。 それぞれ、二人部屋になってます。 |
いづみ | 咲也くんももうここで生活してるの? |
咲也 |
はい。オレは101号室を使わせてもらってます。 荷物が少ないので、昨日のうちに整理しました。 |
綴 |
俺もコインロッカーに荷物預けてあるんで、 今日からでもここ使いたいっす。 |
支配人 |
そうぞどうぞ! 部屋は空いてますからお好きな部屋を選んでください。 |
綴 | じゃあ、隣の102号室で。 |
いづみ | 私もここでみんなと一緒に住むことになるんですよね。 |
支配人 |
監督の部屋は、昔幸夫さんが使っていた二階の部屋があるので、 そこを使ってください。 |
いづみ | お父さんが……。 |
真澄 | じゃあ、俺もその部屋でいい。 |
いづみ | 却下。 |
いづみ |
大体真澄くんはまだ高校生なんだから、 寮に入るなら親御さんの許可を取らないと。 |
真澄 | 別にいい。 |
いづみ | 良くありません。 |
いづみ | 咲也くんもちゃんと許可をもらったんでしょ? |
咲也 | あ、いえ、えっと、うちは……。 |
いづみ | まさか、言ってないの!? |
咲也 | はい……。 |
支配人 | え!? そうだったんですか!? |
いづみ |
支配人も知らなかったんですか!? 未成年誘拐とかで捕まっちゃいますよ!? |
支配人 | ええ!? そ、そそそんな、まずいじゃないですか! |
いづみ |
とにかく、心配してるだろうから連絡しないと。 咲也くん、連絡先を教えて。 |
咲也 | わかりました……。 |
いづみ | 今の時間、家にいらっしゃるかな? |
咲也 | 多分いると思います。 |
いづみ | わかった。電話してみるね。 |
咲也の家族 | 『はい、吉永です』 |
いづみ | (あれ? 咲也くんの名字と違うな) |
いづみ |
もしもし、夜分にすみません。 私、劇団MANKAIカンパニーの立花と申します。 |
咲也の家族 | 『は? 劇団?』 |
いづみ |
(ひとまず、咲也くんが劇団に入団したことと、 寮生活について説明しないと……) |
いづみ | というわけなんですが、ご了承いただけますでしょうか。 |
咲也の家族 | 『それって、費用は掛かるんですか?』 |
いづみ |
いえ、あくまで住み込みでの団員という形での採用ですので、 福利厚生に含まれています。 |
咲也の家族 | 『それなら構いませんが』 |
いづみ |
(ずいぶんあっさり納得してくれたな。しかも、 理解があると言うよりは、お金のことしか気にしてない?) |
咲也の家族 |
『学校にだけは行かせてください。 私どもの責任が問われますので』 |
いづみ | はい、それはもちろんです。 |
咲也の家族 | 『お話はわかりました。それでは、これで』 |
いづみ | 咲也くんに替わりましょうか? |
咲也の家族 |
『結構です。失礼します』 |
いづみ | (なんだか、冷たい感じだったな……) |
いづみ | 咲也くん、ご家族の了承はとれたからもう大丈夫だよ。 |
咲也 | そうですか、よかった……ありがとうございます、カントク。 |
いづみ | 連絡は他にしなくても大丈夫? |
いづみ |
(名字が違ったし、ご両親は他にいるとか そう言うことはないのかな) |
咲也 |
大丈夫です。オレ、小さい頃に両親を亡くしていて、親戚の家に 居候させてもらってるんです。だから、名字が違うんです。 |
いづみ | そうだったんだ……。 |
咲也 |
今の家には半年前からお世話になってるんですけど、 友達の家を転々としたりして、あんまり帰ってなくて……。 |
咲也 |
自分の部屋を持つのは初めてだから、嬉しいです。 これから劇団員としてがんばります。 |
いづみ | (結構複雑な家庭環境だったんだな) |
いづみ | そうだね。出ないと、この団員寮も潰されちゃうしね。 |
咲也 | それは困ります! |
綴 | 俺も困るっす。 |
いづみ | じゃあ、つぶされないようにがんばろう! |
いづみ | さ、次は真澄くん。ご家族の連絡先を教えて。 |
真澄 | まだ付き合い始めたばっかりなのに、両親に会いたいとか……。 |
いづみ |
そういう意味で挨拶するわけじゃないし! そもそも付き合ってないから! |
真澄 | ふーん。はい、連絡先。でも連絡つかないと思う。 |
いづみ | 時間をずらした方がいい? |
真澄 |
時差もあるし忙しいから、いつも捕まらない。 留守電に入れとけばいい。 |
いづみ | 時差!? 海外にいらっしゃるの!? |
真澄 | 今はどこだったかな……忘れた。 |
いづみ | とにかく電話してみよう。 |
いづみ | ……。 |
いづみ | (つながらないな……) |
いづみ | (しょうがない。留守電にメッセージ入れとこう) |
いづみ |
一応留守電は入れたけど、今日は帰った方がいいかもしれないね。 |
真澄 | 家に帰っても誰もいないし。 |
いづみ |
そう? それなら、今から帰すのも心配だし、 ここに泊まった方がいいかな。 |
支配人 | 部屋はあと103号室が残ってますけど、どうします? |
真澄 | アンタと同じ部屋じゃないなら、どこでもいい。 |
いづみ |
これから新しい人も増えるだろうし、 全部部屋が埋まっちゃうのもなんだよね……。 |
咲也 | オレ、真澄くんと同室でもいいですよ。 |
綴 | 俺も別にいいっすよ。 |
いづみ | うーん、じゃあグーパーで決めようか。 |
いづみ | 準備はいい? グーパージャス。 |
咲也 | パー。 |
真澄 | グー。 |
綴 | グー。 |
いづみ | じゃあ、とりあえず真澄くんと綴くんが同室っていうことで。 |
真澄 | アンタがそう言うなら。 |
綴 | 了解っす。 |
いづみ | それじゃ、決まりね。 |
亀吉 | メシー。腹減ったゾー、おい、なんか食わセロ。 |
支配人 | あ! もうこんな時間ですね。 |
支配人 |
さあ、そろそろご飯にしましょう。 今日は監督就任と新入団員を祝って、ごちそうを作りますから! |