メインストーリー
第1幕 The Show Must Go On
第8話 目の下にビッグベア
登場人物
監督(いづみ)
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MANKAI寮 談話室
いづみ | (今日で一週間……脚本のデッドラインだ) |
咲也 | 綴くん、ここのところ見かけないですけど、大丈夫ですかね。 |
いづみ | 真澄くん、綴くんの調子はどう? |
真澄 | 知らない。 |
いづみ | 部屋にはいるんだよね? |
真澄 | 多分。 |
いづみ | 多分!? 同室なんだし、話したりしないも? |
真澄 |
しない。存在を認識してない。 |
いづみ | ええ!? |
真澄 | PCと同化してる。 |
いづみ | ずっとPCの前にいるってこと? |
真澄 | 多分。 |
シトロン | ツヅル、この前話しかけてもノーリアクションだたヨ。 |
至 |
大学も休んでるみたいだし、 様子を見に行った方がいいんじゃないかな。 |
いづみ | そうですね。どちらにしても、もう期限ですし……。 |
咲也 |
もしまだ脚本ができてなかったら、どうなるんですか? |
いづみ | 他の脚本を使うよ。 |
咲也 | 途中までできてても、ですか? |
いづみ |
これ以上は待てない。練習期間が公演の出来に関わるから、 確実に明日から読み合わせを始めないと。 |
咲也 | そうですか……。 |
至 |
厳しいけど、この劇団もアマチュアの団体じゃないし、 しょうがないね。 |
いづみ |
(直接最後通牒を渡すのは気が引けるけど、これも監督の仕事だ) |
いづみ | (一週間無駄にしちゃった分、これから挽回しないと……) |
いづみ | 綴くんのところに行ってくるね。 |
咲也 | オレも行きます! |
シトロン | ワタシも心配ダヨ。 |
真澄 | アンタが行くなら行く。 |
いづみ | 至さんはどうします? |
至 |
悪いんだけど、俺は部屋に戻らせてもらってもいいかな。 今日の稽古も休みたいんだ。昨日の夜から体調が悪くてね……。 |
いづみ | え? 大丈夫ですか? |
至 | 少し休めば治ると思う。 |
いづみ | わかりました。お大事にしてください。 |
至 | ありがとう。それじゃ。 |
いづみ | さてと、皆行こうか。 |
MANKAI寮 中庭(昼)
いづみ | (綴くんを信じるっていう判断は間違ってたのかな……) |
いづみ |
綴くん、いる? 約束の一週間になったから、 脚本のことで相談したいんだけど。 |
いづみ | 綴くん? |
咲也 | 返事がないですね。 |
シトロン | メイビー、スリーピング中ネ。 |
真澄 | 死んでるかも。 |
いづみ | え!? 綴くん、開けるよ!? |
102号室
綴 | ……。 |
いづみ | !! |
咲也 | 倒れてる!! 綴くん、大丈夫ですか!? |
シトロン |
オーツヅル、死んでしまうとはナニゴトカ。 |
いづみ | 大変、救急車呼ばないとーー。 |
真澄 |
PC。 |
いづみ | え? |
真澄 | PC見て。 |
いづみ |
あ、画面に何か書いてある……? |
咲也 | ええと、『書けたー』? |
いづみ |
書けたーって……書けた!? 脚本が書けたってこと!? 綴くん!? |
綴 | ……ぐー。 |
いづみ | 寝てる……。 |
咲也 | なんだ、寝てるだけだったんですね……。 |
シトロン | ホラ、ワタシの言った通りネ。 |
いづみ | 良かった……ちゃんと脚本書き上げたんだ……。 |
いづみ | (綴くんを信じて、本当によかった……) |
いづみ | よし、すぐに印刷しよう! |
咲也 | オレ、やります! |
いづみ | お願い。 |
シトロン | ツヅル、ツヅル、起きるのデス。 |
いづみ |
綴くんはもう少し寝かせておこう。 きっとずっと寝ないでがんばったんだろうから。 |
シトロン | オーそうだネ。目の下にビックベアーダヨ。 |
いづみ | 熊じゃなくて隈ね。 |
いづみ | お疲れ様、綴くん。 |
綴 | ……ぐー、むにゃむにゃ……。 |