メインストーリー
プロローグ
第5話 日暮れまで
登場人物
監督(いづみ)
伊助(支配人)
天鵞絨駅
咲也 |
はあはあ……。 |
支配人 | 監督、次の課題は何を……。 |
いづみ | そ、そうねー、ええと……。 |
いづみ |
(やっぱり、全然人が集まらない。 咲也くんも疲れてるし、一旦場所を変えた方がいいかな) |
観客の青年 (真澄) |
……。 |
いづみ | ? |
いづみ | (何だか視線を感じる) |
観客の青年 (真澄) |
……。 |
いづみ | (綺麗な顔立ちの子だな) |
いづみ |
(あの子、そういえばさっきからずっと見てる気がする。 もしかして演劇に興味があるのかな) |
いづみ | ……あの、演劇に興味はありますか? |
観客の青年 (真澄) |
ーー。 |
いづみ | ずっと見てくれてましたよね? |
観客の青年 (真澄) |
あ……え……。 |
いづみ | (どうしたのかな。目が泳いでるけど……) |
咲也 | あれ? 真澄くん? 碓氷真澄くんだよね? |
いづみ | 咲也くん、知り合い? |
咲也 | 話したことはないですけど、うちの学校の後輩です。 |
真澄 | お前、誰? |
咲也 | あ……やっぱりオレのことなんて知らないよね。 |
いづみ |
えっと、真澄くん? もし演劇に興味があるなら、試しに劇団に入ってみない? |
真澄 | アンタ、その劇団にいるの? |
いづみ | えーと、私はお手伝いというか……。 |
真澄 | ……入ってないんだ? |
支配人 |
何言ってるんですか、監督! 監督はこの劇団の主催兼総監督じゃないですか! |
いづみ | いやいや、それはお芝居の設定上のものでーー。 |
いづみ | (しかも、ただの監督より仰々しい肩書きになってるし) |
支配人 |
謙遜しなくてもいいんですよ、監督! よっ! 監督の中の監督ー! |
いづみ | (さりげなく押し付けようとしてる気がする!) |
真澄 | アンタがいるなら……入る。 |
いづみ | え!? |
支配人 | やったー! 一人ゲット! |
咲也 | 本当? 真澄くん!? 入ってくれるの!? |
真澄 | お前はどうでもいい。 |
咲也 |
そ、そうかもしれないけどうれしいよ! |
いづみ |
(どうしよう……。私まだ、 この劇団に入るなんて決まってないのに) |
いづみ |
(でも、貴重な新入団員だし、 騙してるみたいで悪いけど、今は黙っとこう) |
いづみ |
じゃあ、さっそくで悪いけど、 ストリートACTに参加してもらえるかな? |
真澄 | 何すればいい? |
いづみ | 適当に話を合わせてくれるだけでいいから。 |
真澄 | わかった。 |
いづみ |
(この子、意外と飲み込みが早い。 勘が良いし華もあるし、いいかも!) |
真澄 | ……今のでいい? |
いづみ | え? |
真澄 | 今の感じでいい? |
いづみ | う、うん、いいから、お芝居を続けて。 |
真澄 | わかった。 |
真澄 | ……今のどう? |
いづみ | いちいち聞かなくていいから! |
いづみ | (ちょっと変な子だけど、見込みはありそう) |
ビロードウェイ(夕)
いづみ | (まずい。日が暮れてきちゃった……) |
支配人 | 時間切れ、ですかね。 |
咲也 | そんなーー! |
真澄 | もうおしまい? |
いづみ |
(どうしよう。このままじゃ、劇団が潰されちゃう! せっかく新しく真澄くんも入ってくれたのに……) |
いづみ | (なんとかしなくちゃ。あともう一人、誰かーー) |