A3! 備忘録

基本的に自分用

第4話 ストリートACT

メインストーリー

プロローグ

第4話 ストリートACT

 

 

 

登場人物

監督(いづみ)

伊助(支配人)

 

 

ビロードウェイ

 

支配人

いやー、神様幸夫様幸夫さんの娘様!

まさに天の助けです。これで、劇団は救われました!

支配人

さっきのあの人の顔見ました?

こめかみぴくぴくしてましたよ。ぷぷぷっ。

いづみ (さ、さっきと態度が全然違う……)
いづみ

安心しきってるところ悪いんですけど、

これから新入団員を見つけないと!

支配人

え!?

でも、幸夫さんのツテと虎の巻があるって……。

いづみ あれは、あの場を乗り切るためのはったりです。
支配人 ええ!?

新人劇団員

(咲也)

ウソだったんですか!?
いづみ (そんなまっすぐな目で言われると、ちょっと胸が痛む……)
いすみ

う、ウソというかお芝居です。

ストリートACTみたいなものというか……。

支配人 そんな……それじゃあ、新しい団員は……。
いづみ いません。
支配人 えええええ……。

新人劇団員

(咲也)

劇団はやっぱりつぶされちゃうんですか……?
いづみ そうならないために、今から死ぬ気で劇団員を探すしかない。
支配人 今からなんて無理ですよ〜!
いづみ 無理かどうかは、やってみなくちゃわからないじゃないですか!
支配人

無理です。昔の団員は皆いなくなって、

新しい団員も結局一人しか入らなかったし……。

支配人

僕は全然人望ないし、劇団の評判も最悪だし……

こんな今の劇団に入ってくれる人なんて……うじうじ。

いづみ (……ちょっとイライラしてきた)

新人劇団員

(咲也)

あの、オレ、何ができるかわからないけど、手伝わせてください!

新人劇団員

(咲也)

せっかく入った劇団をなくしたくないですし、

何もしないよりはマシですよね!

いづみ (それに比べてこの子はいい子だ……!)
いづみ

ほら、この子もこう言ってーー

えっと、キミ、名前は何ていうの?

咲也 佐久間咲也です! 花が咲くの咲也です!
いづみ 咲也くんか。よろしくね!
咲也 よろしくお願いします!
いづみ

ほら、新人の咲也くんが頑張ろうとしてるんだから、

支配人もしっかりしてください。

支配人

うう……わかりました。

どうせだめだろうけど、やってみましょう。

いづみ

(いちいちイラッとするな、この人)

咲也 それで、どうやって団員を探せばいいんでしょう?
支配人 ビラ配りでもします?
いづみ うーん、やみくもに声をかけても、効果は低そうだし……。
いづみ

(手っ取り早く演劇に興味がある人を集める方法……

一人一人声をかけるよりも、一気に人目を集めて……)

いづみ そうだ! ストリートACTをするのはどうですか?
いづみ 劇団の宣伝にもなるし、演劇に興味がある人が集まるはず。
咲也 なるほど! いいですね!
咲也

オレ、ストリートACTってやったことないんですけど、

即興劇……エチュードってやつですよね。

咲也 内容はいきあたりばったりなんですか?
いづみ

ある程度はテーマを決めた方がいいと思う。

今回は劇団の良さを伝えるようなストリートACTをしよう!

咲也 劇団の良さ……。
いづみ 支配人、何かこの劇団に入るメリットはありませんか?
支配人

そうですね……団員良があって、

僕が腕によりをかけて作った食事が朝晩二食付きます!

いづみ

新人劇団員は収入が少ないから、

生活費が浮くのはかなりのメリットですね。

咲也 えっと、確かに、そこはメリットなんですけど……。
いづみ (? なんだか歯切れが悪いな)
支配人 それに、専用劇場があるので、練習場所には困りません!
いづみ

ふむふむ、それじゃあ、その辺りを盛り込んだ内容で

ストリートACTをしましょう。

いづみ

まず登場人物は私たち三人、支配人は支配人役で、私は監督役。

咲也くんはオーディションを受けに来た劇団員志望の男の子。

いづみ 設定は、オーディションの最中ってことにしましょう。
咲也 わかりました!
支配人 さすが、幸夫さんの娘さんですね。慣れてらっしゃる。
いづみ

私も以前、劇団にいたので、

ストリートACTもやったことがあるんです。

支配人 そうだったんですか。経験のある方は違いますね〜。
咲也 頼もしいです!
いづみ

(段取りを組むのはできるんだけど、

その先は……まあ、やってみるしかないよね)

 

天鵞絨駅

 

支配人

やあ! 僕は劇団MANKAIカンパニーの支配人だよ。

これから路上オーディションを始めるんだ。

いづみ (自己紹介から入っちゃった……)
いづみ

(そういえば、公園の冒頭もそうだったな。

あれはこの人の脚本だったんだ……)

支配人 では、さっそく最初の方、お名前と自己紹介をどうぞ!
咲也 は、はい! 一番! 佐久間咲也! 17歳!
咲也

趣味は、好きな戯曲の台詞を河原で練習することで、

特技は人の名前と顔を覚えることです!

支配人 志望動機は何ですかー?
咲也

元々お芝居に興味があったんですが、たまたまこの劇団で住み込み

劇団員を募集しているのを見かけて、思い切って応募しました!

支配人

へ〜、そうだったんだ〜!

いづみ

(本気で感心してる……。

もしかして、面接もやらなかったのかな)

支配人 では、監督から、入団試験の課題をお願いします!
いづみ

え!? あ、ああ、ええと、そうねーではー

これから入団試験の課題を発表します、いえ、するわ!

いづみ (ダメだ。声が上ずるし、台詞も棒読み……)
通行人A ひどいね。
通行人B 何これ、罰ゲームとか?
通行人A こういう設定なんじゃない?
いづみ ……。
いづみ (やっぱり、私なんかじゃだめだよね……)
咲也 監督? どうしたんですか?
いづみ

ごめん。私劇団にいたけど、どんなに練習しても

大根すぎて役者としては使い物にならなかったの。

咲也 大根なんて、そんなことないですよ!
支配人 大根ぶりなら僕も自信があります。
いづみ 二人とも……。
いづみ 今は弱音なんて言ってられないね。やれるだけやってみよう!
咲也 はい!
支配人 どうせだめなんですから、だめでもともとですよ!
いづみ (支配人は前向きなんだか後ろ向きなんだかわからないけど……)
いづみ 頑張りましょう!
観客の青年(真澄) ……。