メインストーリー
第1幕 The Show Must Go On
第11話 家庭内別居
登場人物
監督(いづみ)
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稽古場
綴 | 『ロミオ、お前は将来この家を背負って立つ男になる』 |
真澄 | 『この街を』。 |
綴 | え? |
真澄 | 『この家を』じゃなくて『この街を』。 |
綴 | あ、やべ……。 |
真澄 | 自分で書いたくせに、入ってないじゃん。 |
綴 |
お前、人の台詞まで覚えてんのかよ。 |
真澄 | これだけ毎日聴いてればバカでも覚える。 |
綴 | 嫌味かよ。 |
真澄 | 被害妄想。 |
綴 | 何? |
いづみ | はい、ストップ。綴くん、先を続けて。 |
綴 | ……っす。 |
いづみ |
(読み合わせを始めてから数日経ったけど、 いまだに流れるようにはいかないな) |
いづみ |
(そろそろ立ち稽古に進みたいんだけど、 この様子だと練習時間が足りないかもしれない……) |
真澄 | 次、アンタだろ。 |
綴 | わかってる。 |
いづみ | (それ以前の問題として、雰囲気が悪いし……) |
咲也 |
あ、ご、ごめん。その次、オレだよね。 |
いづみ |
(こういう空気の中だと、やりづらくて よけいにミスが多くなっちゃうんだよね) |
いづみ |
はい、今日はこの辺で終わりにします。 進みが遅いから、皆もう少し自主練しといてくれるかな。 |
真澄 | 皆っていうか二人だけど。 |
綴 | 誰のことだよ。 |
真澄 | さあ。 |
綴 | 本当、嫌味だよな。 |
咲也 | ごめん、練習が必要なのってオレだよね。 |
真澄 | はあ。 |
いづみ |
(真澄くん、芝居の才能は文句ないんだけど、 こういうところは困るな……) |
101号室
咲也 | シトロンさん、そろそろ電気消しますね。 |
シトロン | オッケーダヨ。 |
綴 | なあ、起きてる? |
咲也 | 綴くん? 起きてますけど。 |
シトロン | こんな時間に珍しいヨ。 |
咲也 | 枕持って、どうしたんですか? |
綴 | あいつといたくないから、ここで寝かせてくれ。床でいい。 |
咲也 | え? あいつって真澄くんですか? |
綴 |
名前聞くだけでむかつくわ。何なんだ、あいつ。 部屋で自主練してても、いちいちつっかかってくるし。 |
101号室
咲也 | そうなんですか。珍しいですね。 |
綴 | 珍しい? いつものことだろ。 |
咲也 | いえ、真澄くんって、学校でもいつも一人でいるみたいで。 |
咲也 |
あの外見だからすごく目立つし、女子に人気なんですけど、 誰が話しかけても、全然相手にしないって有名なんです。 |
咲也 |
監督にべったりなのもびっくりしましたけど、オレたちには 興味ないって感じで、反応もしないイメージだったんで……。 |
綴 |
そういえば、ロミジュリの稽古始まってから、 やたらと突っかかるようになったよな。 |
シトロン | わかた! ツンデレダヨ。 |
綴 | デレがねえし。 |
咲也 |
真澄くん、両親もほとんど海外にいて、家にずっと一人らしいんです。 だから、あんまり人と関わることに慣れてないのかも……。 |
綴 | 家に一人? 兄妹もいないのか? |
咲也 | 一人っ子だと思います。 |
綴 |
そっか……家に一人とか、想像できねえな。俺兄弟多いし。 |
咲也 |
あの、真澄くんの言ってることは確かに厳しいんですけど、 正しいと思うんです。 |
咲也 |
オレはどうしても、自分の番が来ると慌ててつっかえちゃうし、 練習が足りないのかなって……。 |
シトロン | 気にしないヨー。ワタシ、セリフいえなくても気にしてないヨ。 |
綴 | シトロンさんはちょっとは気にした方がいいっすよ。 |
綴 | でも、まあ、そうだな。よし、朝練でも始めてみるか。 |
咲也 | あ、いいですね! オレもやります! |
シトロン | ワタシも出るヨー。 早起きは山門のトクさんダヨ。 |
綴 | 誰だよ、トクさんって。それを言うなら、三文の徳。 |
綴 | それじゃあ、明日6時に稽古場集合で。 |
咲也 |
はい! 今日は早く寝ないとですね。 綴くん、オレのベッド使ってください。 |
綴 | あー、いや、いいや。やっぱ、自分の部屋戻るわ。 |
咲也 | そうですか? |
綴 | 一応、あいつにも朝練のこと言っとかないと。 |
咲也 | そうですね! 真澄くんもきっと出てくれると思います! |
綴 | わかんねえけどな。 |
シトロン | じゃあ、カントクとイタルにも伝言ダイヤルネ。 |
咲也 | そうしましょう! |
MANKAI寮 中庭(夜)
咲也 | 至さん、いますか? |
咲也 | ……あれ? |
咲也 | もう寝てるんですかね。 |
綴 | いや、中でカタカタっていう音が聞こえる。 |
シトロン | さてはゴキブリネ。 |
咲也 | え!? |
綴 | この音、多分あれじゃないか。コントローラーのー。 |
咲也 | ゴキブリなら、退治しないお! 開けますよ、至さん! |
103号室(夜)
至 |
っしゃー! 10キル。 ざまあ、おれに挑むなんて百年はええよ。 |
咲也 | 至、さん……? |
綴 | あ、やっぱゲーム中だ。 |
至 | ん……? |
シトロン | イタル、リラックスモードネ。ジャパニーズ干物! |
至 | あー……何か用? |
咲也 |
え、ええと、皆で明日から朝練しようかと話してて、 至さんもよかったらどうですか? |
至 | 朝練って何時? |
綴 | 6時から始める予定っす。 |
至 | 6時かー。考えとく。 |
咲也 | あ、はい。それじゃ、失礼します。 |
至 | おつー。 |
MANKAI寮 中庭(夜)
咲也 | ……。 |
綴 | ……。 |
咲也 | ちょっと普段のイメージと違いましたね。 |
綴 | ちょっとどころじゃねえし。 |
綴 |
至さんがやってたの、ちらっと見ただけだけど、 コアなオンラインゲームだ。世界中で廃人続出とか。 |
シトロン |
『アルティメットウェポン4』戦争もののオンラインFPSゲーダヨ。 レベル124で、あの装備は重課金兵ネー。立派な廃人ダヨ。 |
綴 | そんなことまでわかるお前もやばいだろ! |
シトロン | ワタシの国では義務教育のイッカンダヨ。 |
咲也 | 本当ですか!? |
綴 | 嘘だろ! |
シトロン |
イッツジョークダヨ。 |
咲也 | なんだ、てっきり本当なのかと……。 |
咲也 | それにしても至さん、朝練出てきてくれますかね。 |
綴 |
うーん、どうだろうな。ゲームするので忙しいかも。 ま、とりあえず監督に話しに行こうぜ。 |
花学での真澄くん
咲也「あの外見だからすごく目立つし、女子に人気なんですけど、
誰が話しかけても、全然相手にしないって有名なんです。」
真澄くんの家族
咲也「真澄くん、両親もほとんど海外にいて、家にずっと一人らしいんです」
咲也「一人っ子だと思います。」
綴くんの家族
綴「家に一人とか、想像できねえな。俺兄弟多いし。」
早起きは山門のトクさん・早起きは三文の
『アルティメットウェポン4』戦争もののオンラインFPSゲーム